太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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個人生活の多様性を認める社会へ

 学校に限らず、わが国の組織や集団は、個人が多様な価値観をもち、さまざまな領域で生活していることについての認識が不足している。また、それを尊重しようとする精神にも欠けている。
 サラリーマンの世界では、遠方への転勤や長時間の残業、つきあいに象徴されるように会社べったりの「会社人間」になることが求められてきた。それに対する反省から、最近では地域社会への回帰が叫ばれるようになったが、皮肉なことにそこでも同じ問題を引きずっているようにみえる。
 自治会やPTAの役員は半ば強制的に割り当てられ、行事や会合には出席が義務づけられる。個人の意志や都合にはお構いなしである。その結果、多くの人にとって自治会やPTAは煩わしい負担としてしか意識されなくなってしまっている。これではかりに「会社人間」を地域に引き戻すことができても、個人にとっては帰属の対象が変わっただけにすぎない。
 要するに、それぞれの組織や集団が、個人生活の多様性や選択の自由を認めることなく、自らの論理を押しつけてしまうところに問題があるのである。
 社会学者のジンメルは、個人が複数の社会へ多元的に帰属することによってはじめて個性が生まれると考えた。すなわち、個人の全人格を尊重しようとすれば、それぞれの組織や集団が関与できる範囲は逆に限られてくるということである。
 強制や取り込みからは受け身で画一的な人間しか生まれない。個性と自主性を備えた人間を育てるには、自らの意志で選択し参加できるような社会的条件を整えていくことが第一歩である。学校も、自らの役割と限界をはっきりさせておく時期がきているように思える。
(『総合教育技術』1999.2)
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  1. 1999/01/31(日) 12:08:15|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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