太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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総合雑誌に期待する

 最近、雑誌(とりわけ総合月刊誌)をあまり読まなくなった。その理由は、通り一遍で新鮮みに乏しい記事が増えてきたためだ。
 世の中を見渡すと、少数意見や異論を唱えることがだんだん難しくなってきている気がする。比較的近いところでは、阪神・淡路大震災、オウム事件などの後では、一種独特の、ものを言いづらい雰囲気が世間にみなぎっていた。
 最近では、環境とか企業倫理、セクハラといった言葉には、反論を許さない重みが感じられる。ある学会で著名な学者が、「私たちは倫理について語るとき、知的能力が低下する」と皮肉っぽく言ったのが印象的だった。
 異論や意見を言いづらくしている大きな責任は、多数派に迎合し少数意見にはなかなか耳を貸さない、大新聞やテレビなどのマスコミにあると思う。たまに真正面から反論しようとすると袋だたきにあい、スケープゴートにされる。それは日本だけの現象ではない。普段は言論の自由を金看板に掲げるアメリカのジャーナルでさえ、いわゆる9.11の同時多発テロ以降、政府の姿勢に批判的な記事は載せなくなったといわれる。
 大多数に支持されなければ経営が成り立たない大新聞や商業放送が、ポピュリズムに陥るのはやむを得ないとしても、解せないのは発行部数が限られている雑誌の消極的な姿勢だ。
 ふだん、マスコミの報道や知識人の「きれい事」に多少うんざりしたり、違和感をもったりしている人はおそらくかなりいるだろう。少なくとも、国民の数パーセントはそのような人たちではなかろうか。一方、総合月刊誌の発行部数は年々減少し、現在はせいぜい数万部程度である。かりに雑誌を読める人が国内に5千万人いるとして、千人に一人しか購読していない計算になる。それなら、思い切って彼らのホンネを代弁し、しかも質の高い記事をたくさん載せれば、読者はもっと増えるのではなかろうか。
 無責任な発言や記事が横行するのも困るが、少数意見や異論が抑圧され、それを唱えた人が社会的に抹殺されるような社会はもっと怖い。総合雑誌に勇気ある姿勢を求めるのは無理難題ではないように思うが。
 (2004.2)
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  1. 2004/02/04(水) 12:45:06|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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