太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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ナイーブな正義の危うさ

 私が通っている歯医者は、虫歯に詰め物をしてもらってもすぐにとれることが多い。そのためかあまり客(患者?)は来ていない。対照的に、以前通っていた歯医者は大きく削ってしっかりと詰めてくれるので長い間もつ。だから評判がよく、いつ行っても超満員だ。
 でも私は、今の歯医者の方が気に入っている。なぜなら、できるだけ自分の歯を残そうとしてくれているところにプロフェッショナルとしての良心を感じるからだ。以前の歯医者では抜いて差し歯にかえるようしきりに勧められた歯も、今の歯医者ではそのまま詰めて治してくれた。このように良心的な歯医者が誤解されているとしたら本当に気の毒に思う。
 同じような理不尽は至る所に起こっているのではなかろうか。とくに注意を促したいのは正義感から抗議したり、当然の権利を行使したりしているつもりが、狡猾な相手にかかると逆手に取られる危険性があるということだ。
 近年、立場の上下関係を悪用した「セクハラ」「ドクハラ」「アカハラ」が問題になっている。本物のハラスメントが糾弾されるべきなのは当然だが、きちっとした線引きをしておかないとかえってサービスを受ける側がより大きな不利益を被りかねない。
 加害者側を擁護するわけではないが、些細な「事件」のなかには、部下思いの上司、患者を大事にする医師、教育熱心な教師たちによって引き起こされるものが多いことも見逃してはならない。
 たとえば、男性の上司が女性社員を励ますつもりで「元気を出せよ」と言いながら肩をポンとたたいたり、「最近痩せたんじゃない?」と言ったりすると、ときには問題視される。
また治療や教育に真剣になりすぎて、きつい言葉を吐くとアウトだ。それなら触らぬ神にたたりなしで、必要最低限のことしか言わず、耳障りの良い(おかしな日本語だが)言葉だけを並べておこう、という気持ちになってしまうのではないか。とりわけ人の命を扱う医師などが、情報・知識の圧倒的な格差を悪用して、そのような自己防衛を図ったらたいへんなことになる。
 センセーショナルな言葉に踊らされることなく、相手の真意を読み取るとともに、その運動がどんな結果をもたらすかをしっかりと見極めなければならない。
 (2004.5.27)
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  1. 2004/05/27(木) 12:49:12|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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