太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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他人のフンドシで相撲を取る輩

 静岡県内で講演したとき、イベント関係の会社を経営しているという年配の社長が、私が講演で触れた事例の詳しい話を聞きたいと言い寄ってきた。人のよい?私は、相当の資金と時間を投資して手に入れた情報をその人に教えてあげた。そこまではよくある話だ。ところがその社長は、「この話を多くの人に聞かせ、世の中のために役立てたいと思います」と言い残して立ち去った。本人は、良いことをしているつもりかもしれないが、私は不愉快だった。私はその社長に情報をあげたのであり、その事実をうやむやにされたくなかったのだ(もちろん情報料をくれと言っているわけではない)。口には出さなかったが、「世の中のために役立とうとするなら、自分の努力でやればよい。他人のフンドシで相撲を取るようなことはしないでくれ」と言いたかった。
 近年、企業の社会貢献の必要性が叫ばれるようになり、環境に優しい企業や、文化活動を支援する企業が増えてきた。しかし私は、上の例と同じように釈然としないものを感じることがある。たとえば、少し価格が高いが環境に優しい製品を販売し、会社が利益を得たとする。その場合、追加の費用を負担して環境に貢献したのは消費者である。しかし、経済的な利益に加え、環境保護に貢献したという功績も企業のものになる。
 企業がほんとうに環境に貢献するつもりなら、コストの増加分は企業が負担するのが筋だろう。消費者に負担させるのなら、<この製品で環境保護に貢献したのは消費者の皆様であって、会社はその運動に関わっただけです>と明記すべきだ。
 もっと単純だが思い出すたびに腹が立つことがある。京都駅の構内で弁当を買って新幹線に飛び乗り、いざ食べようとしたら箸が入っていないのである。そういえば、どこかの店で「森林保護のため、お申し出がない場合は箸を付けないことにしています」と書いてあった。それを思い出して、ヤラレタと思ったが後の祭りである。懲りたはずなのに、しばらくたってこんどはJRの札幌駅で同じ被害に遭ってしまった。自分の注意が足りないといわれればそれまでだが、咄嗟のときに、弁当に箸がついていないなどとだれが予想するだろうか。まして駅弁を買って箸がいらない客がどれだけいるというのか。これは、環境保護に名を借りた顧客無視の商法だ。
 相手から受けた私的な恩恵を「公」に返すことですませようとしたり、「公」の名のもとに自分の私益を追求したりする人間は、無神経なのかずるいのか知らないが、どちらにしても要注意だ。まして、環境保護などの美名のもとに顧客を無視するようなことを平然とやる会社や人間がたくさんいると思うと恐ろしい。
(2005.7.19)
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  1. 2005/07/19(火) 13:33:56|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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