太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

急がれる「能力」観の転換

 入試や学年・学期末テストのシーズンが近づくと、どこの学校でもカンニング対策に悩まされる。お隣の韓国でも、集団カンニングが大きな騒ぎに発展した。しかし、簡単にカンニングできるようなテストにそもそも意味があるのか、と考えさせられることがある。実社会で仕事をするときは、何を使って調べてもよいし、だれに訊いてもよい。つまり、すべての情報から隔絶された試験会場は、実社会にはあり得ないきわめて特殊な環境なのだ。
 私は、「これからどんな能力が重要になるか?」と訊かれたとき、「パソコンが勝てないような能力だ」と答えることにしている。入学試験の問題の大半は、ノートパソコン一台あればだれでも簡単に解ける。暗記物の類はインターネットで検索すれば瞬時に答えが出てくるし、英文和訳、和文英訳、それに文章を要約するような問題だって、専用のソフトを使えばすぐに回答できる。膨大な時間・金・エネルギーを投入してそんな能力を身につけさせる価値があるのだろうか。
 それでは、パソコンが勝てないような能力とはどんな能力か?
 一般的にいえば、創造性、判断力、洞察力、感性といったアナログ的な能力である。ところが、そうした能力の秀でた人は必ずしも評価されていないばかりか、残念なことに社会の裏通りを歩いていることさえある。消費者を巧妙にだます詐欺やネット犯罪など、いわゆる知能犯のなかには、その能力をビジネスや研究開発に生かせばよかったのに、と惜しまれるケースが少なくない。もしかすると彼らは、自分がもっている能力の価値を過小評価していた(されていた)のかもしれない。
 IT化などによって、能力の価値に大転換が起きていることを社会がはっきりと示したら、こうした無駄や不幸は防げると思うのだが。
(2005.11.25)
スポンサーサイト
  1. 2005/11/25(金) 13:54:27|
  2. 過去
  3. | トラックバック:1
  4. | コメント:0
次のページ

プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

最近の記事

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。