太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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評価の信頼性について

 私の本を読んだ人が二人いるとする。Aさんは友だちから借りて読んだところ、大変面白くためになったと言う。いっぽうBさんは書店で買って読んだがつまらなかったと言う。純粋な気持ちとして、私はAさんよりBさんのほうに感謝する。それはなぜかと考えてみた。もちろんBさんが印税に貢献してくれたからという単純な理由ではない。
 Aさんは口先だけで評価してくれたのに対し、Bさんは書籍代という費用を払ってくれたからだろう。Bさんは、少なくとも本を読むまでは本の中身に書籍代に相当する値打ちがあると評価してくれたわけだ。
 大学で近ごろはやりの授業評価にも同じことが言えそうな気がする。講義に対して低い評価や辛辣なコメントをしている学生も、その講義を選択して受講したわけである(必修だとかやむをえぬ事情で受講した者もいるだろうが)。やはり、自分で選択したという事実は重い。少なくとも受講しなかった学生よりは、その講義にコミットしていると言えるだろう。
 このような考えかたをすると、良い大学と評判だけれど偏差値が低い大学、良い商品だが売れない商品というのも、ほんとうに「良い」と評価されているのかどうか疑わしくなる。アンケートや口先だけでの評価と、自分の人生をかけて選択し、あるいはお金を払った事実とどちらが重いかということだ。
 安易なアンケートに頼りがちな風潮があるが、評価の信頼性というものをもう一度考えてみてほしい。

(2006/10/10)
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  1. 2006/10/10(火) 18:38:21|
  2. 2006年
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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