太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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もっと楽しく働けないか

 ここのところ年に数回は海外に行っているが、現地では必ずマクドナルドに入ることにしている。グローバル展開しているうえ、仕事の標準化を売り物にしているので、働き方を比較すると面白いからだ。
 どこの国の店に入っても店員がリラックスして働いているのが印象的だ。日本の店に比べると規律がゆるんでいるようにも見えるが、日本の店よりも気が利くし自然な愛想があって感じがいい。客が少ないときには店員同士がふざけ合っていることもある。日本だったらマネジャーからは叱られるし、客からクレームもつくだろう。しかし、もしかしたらこれだって店員同士のあうんの呼吸や、スムーズなチームワークにつながっているのかもしれない。少なくとも上司や客の目を気にしながら働くよりは、よいサービスができそうに思える。
 近刊『お金より名誉のモチベーション論』(東洋経済新報社)でも述べたが、これはファーストフード店に限ったことではない。マニュアル化の進んだ欧米などの国で日本よりも自律的に働いているのは不思議に思えるが、マニュアルの果たしている役割が違うのではなかろうか。欧米ではマニュアルに書いてある範囲で自由に働こうとするのに対し、日本ではそれを墨守するばかりか、ときには書いてないところまで忖度して従おうとする。
 日本人のそうした規律正しさは、おそらく少品種大量生産の工業化社会で磨かれたものだろう。あらためて言うまでもなく、それは企業の発展にも経済成長にも大きく寄与した。ところが、一つの条件への過剰な適応が別の条件への適応を妨げることがある。ポスト工業化社会では、画一性や規律正しさよりも自分で判断して臨機応変に行動することが重視される場面が増えてくる。低価格と均質性を志向するファーストフードだって例外ではないはずだ。
 もう一つの大きな問題は、過剰な管理の下で働くのは楽しくないことだ。多くの外国人が日本企業で働きたくない理由として、規律が厳しすぎ窮屈だということをあげる。それは意識調査に表れた日本人労働者の低い満足度にもうかがえるし、働いている人の表情を比べても納得できる。
 職場や仕事内容によっては、楽しく働けることを犠牲にしてそこまで「規律」を徹底する必要もなかろう。「社会技術システム論」でいう社会システムと技術システムのバランスをもう一度確認してみる必要がありそうだ。

(2006/12/11)
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  1. 2006/12/11(月) 19:23:21|
  2. 2006年
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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