太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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「成功」と「孤独」

 酒の席などでときどき経営者から悩みを打ち明けられることがある。具体的な悩みはさまざまだが、共通するのはある種の承認欲求が満たされていないことだ。会社の顔として内外から注目され、尊敬されているように見えるが、肝心なところが満たされていないのである。「経営者は孤独なり」といわれように、自分の弱みを含めて本音を吐露し相談できる、つまり「肝胆相照らす」ような人がいないのである。
 経営者にかぎらない。功成り名を遂げた政治家、学者、作家が自分の業績の核心部分、あるいはほんとうに訴えたかったことを理解してくれた人の前で、うれしさのあまり号泣したという話を聞く。
 そこには、「承認」をいま研究テーマにしている私にとって、示唆深いものがある。いくら世の中で評価され、社会的な地位や名声を得ても、それだけでは不十分なのだ。極論すれば一人でもよいから、人格的にコミットするような承認をしてもらいたいのである。大事なのは承認の量より質だといってもよい(そう単純化できるかどうかはわからないが)。そして、もしかすると量と質は反比例することが多いのかもしれない。たくさんの人に評価されようとするとほんとうの自分を隠したり偽ったりすることも必要になり、それだけほんとうの自分が承認される機会は少なくなる。また、社会的な評価と自己評価とが大きく食い違い、自己のアイデンティティが揺らぐ場合もあるだろう。
 「自分らしさ」とか「自分なりに・・・」という言葉は多用されすぎて軽薄だが、このように考えると重みが感じられる。

(2008/5/22)
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  1. 2008/05/22(木) 13:22:48|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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