太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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朝青龍復活優勝と日本人

 横綱朝青龍がみごとな復活優勝を遂げた。あれだけの逆境とバッシングに耐えた精神力には驚嘆させられる。
 朝青龍の業績や相撲ぶりはもちろん、人柄や態度まで含めた丸ごとの人間として、他の国ならおそらく英雄扱いされるだろう。しかし、わが国ではこれから先もおそらく英雄にはなれない。
 個性が尊重される欧米などの社会と、出る杭を打ち異端を排除する日本社会、というように対比させるのはいささか皮相だ。なぜなら、個々人のレベルでは朝青龍にシンパシーを覚える「隠れ朝青龍ファン」は意外にたくさんいるからである。今場所あたりは、それが衣を脱いで少しずつ顔を出しはじめたようにもみえる。文脈は違うが、「裸の王様」の一シーンに似ている。
 思うに、違いの本質は「空気」の濃さにある。マスコミなどで一部の「良識派?」が朝青龍の言動を批判すると、それに相づちを打ち、バッシングに加わらなければいけないような空気が一気に場を支配する。そこがきわめて日本的なのである。
 そして、今の日本ではいくら「功」があっても、一分の「罪」があれば英雄になる資格を失う。そうしたモラル絶対主義は教育の場から政治や行政の場へ、そして産業界からスポーツ界にまで広がってきている。
 だけれども、そこで問われている「モラル」がどれだけほんとうのモラルかは疑わしい。現に、こうした風潮は表層だけのモラリストをたくさん生み出しているではないか。
 そして、完璧なまでに支配していた空気が一気に変わるのも日本社会の特徴だ。「朝青龍がんばれ」の横断幕や声援は、何となくそれを感じさせた。はたして、空気はどれだけ変わるのか。

 それはともかく、近刊『認められる力』(朝日新書)で朝青龍バッシングや「品格」について私見を述べているので、店頭に並ぶ前に「朝青龍引退」という事態にならなくてホッとした。

(2009/1/25)
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  1. 2009/01/25(日) 19:02:52|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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