太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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「オウンゴール連発」の罪は誰にあるのか

 新潟県の中学校の教頭(コーチ)が、自分のチームにオウンゴールを連発させ、わざと大敗したとして問題になっている。指示した教頭はスポーツマン精神に欠ける行為だとして処分されたらしい。
 おそらく彼は、相手チームの弱点を徹底して突く攻撃と同じような直線的思考でこの戦略をとったのだろう。けれども、その行為だけを取りだしたとき第三者の目にどう映るか、あるいは(マスコミなどの視点から)どう映せるか、というところまで考えが及ばなかった。

 わざと負けるように指示された選手や相手チームの立場からすると、馬鹿にされた気がするのも当然だ。確かに失礼な行為ではある。
 しかし、別の見方をすると、負けた方がよいとわかっていながら勝つためにがんばれというのもなんだかおかしな話だ。野球の敬遠だって、わざとボールを投げて塁に出すのだからオウンゴールと同じではないか。もっと話を広げるなら、受験でよい点を取った方が合格率が低くなるときやがんばって働くほど給料が減るとわかっているときも、「全力で受験しろ」、「がんばって働け」と言えるだろうか。
 いくら選手に「スポーツマンらしく堂々と戦え」と言っても、負けた方が得だとわかっていたら、どこかで手抜きをするかもしれない。がんばっているように見せながら手抜きをする方が、ある意味ではもっとスポーツマンらしくないのではないか。あるいはそんなことを考えた段階でスポーツマンとしての資格を失っているというのなら、世間離れした聖人にしかスポーツはできなくなってしまう。
 そもそも、スポーツマンシップとはいったい何なのか?
 このように考えてみると、今回の出来事で責められるのは、負けるように指示した教頭(コーチ)よりもむしろ、「勝った方が不利になる」という不合理な制度を作った側ではないかという気がする。簡単な話、勝ったチームに対戦相手を選ばせるようにすれば、それですむはずだ。

(2009/4/10)
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  1. 2009/04/10(金) 18:39:06|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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