太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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タダほど恐いものはない

 日曜日に庭木の剪定をし、切り枝を今朝のゴミ回収に出した。以前は枝が袋からはみ出していると持っていってくれなかったが、ゴミ回収が有料化された数年前からは多少はみ出していても持っていってくれる。わずか数十円の負担ですむのだからありがたい(そう思わせるためにサービスを良くしているのかもしれないが)。
 ところで、私はホテルや共済の宿で朝食をとりながらいつも感じることがある。宿によって朝食は別料金のところと、「朝食はサービス」をうたっているところがある。客の態度を見ていると、食事代を支払っているところではふんぞり返っていて店員に挨拶もしない人が多い。いっぽう、「朝食はサービス」というところだと客の多くは遠慮がちに食事をし、すんだら店員に「ごちそうさま」と礼を言う。逆に「食べさせてやっている」という態度がありありの店員を見かけることもある。明らかに店(店員)と客との上下関係が違う。実際は代金がホテル代に含まれているか別払いしているかの違いだけなのに、人間の心理はおもしろい。
 貨幣の発達によって人間が人格的な従属関係から自由になったのはジンメルがつとに指摘していることだが、たしかに「ただでもらっている」と思えばだれでも卑屈になってしまう。その心理を利用しようとする人がでてくるのもまた当然だろう。定額給付金にしても高速道路の1000円乗り放題にしても、元手は自分たちの納めた税金だから、ありがたく思う必要はないのだが。

(2009/6/16)

 
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  1. 2009/06/16(火) 10:58:07|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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