太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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叱られ上手

 会社の社長、学界の大御所、名の通ったジャーナリストが講演後にフロアから思わぬ批判や反論を浴び、まるで子どものように激高したり狼狽したりする姿をしばしば目にする。そんなハプニングを防ぐためか、主催者側は講演後の質疑や意見交換の時間を設けないケースが多い。

 ある程度の地位に就くと、周りには提灯持ちばかりが集まり、「裸の王様」になっていく。きついことを言ってくれるのは、家族かバーのホステスくらいのものだ。だから講演先でも、「すばらしかった」「感動した」という声が返ってくるものと思いこんでいる。反論や批判への免疫が低下しているのである。

 最近は家庭でも、学校や会社でもあまり叱らなくなった。褒めることばかりが強調される。叱ったら嫌われるのではないか、パワハラやアカハラといわれるのではないか、という思いが先行するからだ。その結果、叱られるのに慣れていない若者が増えている。ちょっと叱っただけで自信喪失してしまったり、叱った相手を恨んだりする。
  
 たしかに褒められると心地よいが、叱られると認知的不協和が起きるので不快になる。メンツをつぶされることもある。そのため、耳障りのよい言葉ばかりを求めたがる。しかし、いくら気をつけていても自分のことは見えないものだ。叱られ、注意されて初めて気がつき、そこからまた成長する。逆に言うと、叱られなくなったときにその人の成長は止まるのだ。

 志の高い人は目下の人がものを言いやすい雰囲気をつくり、諫言を成長の糧にしている。また「叱り上手」な人は、相手の受け入れ能力を見極めながら上手に叱ったり、ふだんからときどき叱って免疫をつけたりしている。

 褒め上手、褒められ上手になるのもたいせつだが、叱り上手、叱られ上手になるのはもっと大切かもしれない。

(2011/7/24)
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  1. 2011/07/24(日) 09:36:20|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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