太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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「水清ければ魚棲まず」

 今日の読売新聞によると、瀬戸内海の水がきれいになったため魚がとれなくなり、漁師たちは悲鳴をあげているそうだ。
 「水清ければ魚棲まず」。これは、今の日本の組織や社会にも当てはまるのではないか。

 昨日は、プロ級の釣りの腕前を持つ警官が、雑誌に投稿して原稿料を受け取っていたとして処分され、退職したことが報じられていた。また先日は大阪の公務員が仕事の帰りに10分だけ喫茶店に入り、処分を科されていた。公務員だけでなく、一般のサラリーマンも含めて管理がいっそう厳しくなっている。

 かつて出世する公務員は「清濁併せのむ」タイプだといわれたが、今は濁った水を一滴でも飲んだらアウトだ。また会社でも役所でも、ちょっと油断したらセクハラ、パワハラ扱いされるので、部下をもつ人たちはたいへんデリケートになっている。
 政治家も同じで、能力の有無、業績のあるなしにかかわらず、ちょっとでも落ち度があると徹底的にバッシングされ、追放される。
 かくして清廉潔白だけが売り物の人間が生き残り、組織や社会の舵取りを委ねられるようになる。

 「それがなんで悪い」と言われるかも知れない。たしかに清く正しいに越したことはない。しかし、はたしてそれだけで世の中が回るだろうか? そして、人々にとって居心地がよく、幸せだろうか?
 気づかないだけで、汚れ役を引き受けたり批判のリスクをとったりする人がいたために組織も社会も回っていたという面がある。規則を杓子定規に当てはめ、模範的な行為をするだけでは立ちゆかなくなる例は至る所に存在する。清廉潔白をウリにする人たちは、汚れ役を引き受ける人がいるために自分が清廉潔白でいられるということも自覚したほうがよい。

 こういうと悪事を奨励しているように受け取られるかも知れないが、もちろんそうではない。
 どこまでもクリーンであることを要求して極端な減点評価になると、組織や社会の活力は低下し、人々のやる気もやりがいも犠牲になりかねない、といいたいのである。

(2012/8/26)
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  1. 2012/08/26(日) 13:07:53|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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