太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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ライバル意識か、嫉妬か

 大学3年生の就職活動が今、ピークを迎えている。今年は不況で苦戦が予想されているが、そんな中だけにいっそう良質な情報が必要になる。
 先日、学生に会うと、「○○社は今年、○○大学以外は採らないそうです」と言う。情報源を尋ねると、その会社にいる友人だという。その友人には悪いが、私は「真に受けず挑戦するように」と助言した。
 というのも、毎年、就職活動の時期になると、あの会社は良くないだの、この会社は採用しないだのといったデマが飛ぶ(その証拠に会社で確認するとたいていが根も葉もない話だ)。純真な学生は、まんまとそのデマに乗せられ、少なからず進路を妨害される。デマの発信源はたいていが友人や同級生たちである。残念なことに、親しい「仲間」がそうした誤った情報を意図的に流しているようだ。
 仲間内から良いところに就職する者が出ると面白くないので足を引っぱろうとするのならまだわかる。けれどもよくみていると、妨害が起きるのはそのようなパターンとはかぎらない。むしろ、すでにその会社に入っている者が友人を来させないようにしたり、一流企業から内定をもらった者が同級生が他の一流企業に入るのを妨害したりするケースが少なくない。一般的に言うとそれはライバル意識に属するのだろうが、それとも少し違うような気がする。おそらく、友人関係や同級生仲間といった世間の中で自分だけが「良い会社の社員」でいたい、というエゴなのだろう。
 転職は強い紐帯よりもむしろ弱い紐帯で結ばれたネットワークからの情報で行われることが多い、というグラノヴェッターの有名な研究がある。たしかに大学を含め、転職した人をみると弱い紐帯によるケースが圧倒的に多いようだ。弱い紐帯のほうが有効な理由は、親しい関係だと持っている情報も似てくるのに対し、あまり親しくない関係からは多様な情報が入ってくるからだといわれる。たしかにそれもあるが、「仲間を寄せつけたくない」という心理も大きな要因なのではなかろうか。
 何となく気分が滅入る話ではある。
 デマを流す人に問いたい。自分の信頼を失うことの損失と天秤にかけてみたことはあるか、と。

(2009/3/20)
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  1. 2009/03/20(金) 11:46:10|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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