太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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「職員より住民」はどこまで通用するのか?

 昨日行われた阿久根市長の出直し選挙で、市議会や市職員と対立する候補が再選された。ここのところ、市民や住民の利益を最優先し職員と対決姿勢を示す首長がつぎつぎに誕生している。 
 首長が自分の利益を考えた場合、選挙で当選することが第一だから選挙民の利益を最大限に尊重するのは当然である。その点では、前回このブログに書いたように首長が地方分権推進の旗を振るのも、まったく同じ合理的行動だといえよう。
 けれども私が疑問に思うのは、このように単純で直線的な行動がなぜ今まであまりとられなかったのかということである。それが通用するとわかっていたら、歴代の首長も当然、職員を敵に回してでも選挙民に迎合する姿勢をとったはずである。
 もう一つの疑問は、「行政は市民のもの」という原則は「会社は株主のもの」という原則とたいして違わないのに、なぜ前者はだれからも批判されず、後者は袋だたきにあうのか、である。「株主」が一部のお金持ちをイメージするのに対し、「市民」の方は清廉で一般受けするからなのだろうか。あるいは、会社だと社員を敵に回せば生産性が落ちたり優秀な人材が逃げていったりして結局は株主の支持も失うのに対し、役所では仕事の能率が落ちてもそれほど目立たないし、優秀な職員が逃げる心配もないからだろうか。
 いずれにしても、「自分の存立基盤である選挙民の利益を最優先する」という単純で、かつきわめて功利的な行動原理がどこまで通用するのか見ものである。

(2009/6/1) 


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テーマ:選挙 - ジャンル:政治・経済

  1. 2009/06/01(月) 10:22:21|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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