太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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民主主義のパラドックス

 私は自由主義や個人主義は好きだが、民主主義はあまり好きではない。というか、絶対的には信用していない。その理由は、民主主義そのものには手続き的な価値しかないこと、そして手続き的な価値にも対立や矛盾を含んでいるからである。
 第一に、民主主義と自由主義や個人主義とはしばしば対立する。第二に、民主主義そのものが内部矛盾を抱えている。
 第二の問題は、民主主義のパラドックスと言い換えてもよいだろう。たとえば国民の顔色ばかりうかがい、移ろいやすい世論におもねる政策をとっていたら、結局は国民の支持を失う。単に世論を追いかけるだけなら政治(家)はいらない。投票マシンさえあればよい。
 いくら国民が主権者だといっても、一人ひとりの国民はどんな政策がベストだとわかっているわけではない。選挙だって、それほど深く考えずに投票している人が多数いるのが事実だ(そのことを否定するなら空疎な建前論に陥る)。まして一人ひとりの選択、あるいは人気のある政策を合成すると、思いもよらない結果が出ることもある。だからこそ、すべてを掌握したうえで国民が納得するような政策を示し、実行するリーダーが必要なのである。
 「マニフェスト」「政治主導」を看板に掲げているにもかかわらず支持率低下に歯止めがかからない政権は、このパラドックスを思い知ったのではなかろうか。

(2010/3/16)
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  1. 2010/03/16(火) 21:49:16|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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