太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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ノウハウ偏重を憂う

 就職活動を始める学生たちが、先輩をつかまえては、「リクルートスーツは何色がよいか」「趣味を訊かれたときはどう答えたらよいか」「志望理由は?」などと、就職のテクニックについて尋ねている。その真剣な表情は、おそらく彼らが大学生活ではじめて見せる顔だろう。不況で買い手市場のご時世だから、その気持ちは痛いほどわかる。しかし、彼らと話してみると、自分がどのような人生を送りたいのか、仕事に何を強く求めているのかについて、ほとんど伝わってこない。そんなことは今更考えても仕方がないと割り切っているようだ。
 これは就職活動に限らない。巷には、文章の書き方、資格の取り方、恋愛の仕方から、果ては立派な最期の送り方までハウツー本やセミナー、講座などがあふれている。
 ただ、優れた文章を書きたいと思っている人が、はたして他人に読んでもらうだけの内容をもっているだろうか。恋愛のテクニックを学ぼうとする人が、愛されるだけの魅力を備えているだろうか。どうも、本末が転倒しているように思える。たとえていうと、行き先が決まっていないのに立派な車を用意するようなものだ。
 大学や大学院での教育についても、同じことが言えそうな気がする。いくらカリキュラムを整備し、授業内容を改善しても、本人の目的意識がはっきりしていなければ、ほとんど効果はないだろう。場合によっては、かえって「頭でっかち」になり、考えや行動の柔軟さを失うだけかもしれない。
 要するに、手段はあくまでも手段であるとことをわきまえておくことが大切であり、学生時代、とりわけ就職活動に煩わされることのない二・三年生の頃までには、人生観や目的意識を育てることを心がけて欲しい。価値観や目的意識が確立されれば、必要な知識や情報は、まるで乾いた土が水を吸い込むように苦もなく吸収されるものだ。逆説的だが、その方がノウハウものに手を出すより、手段としても有効だろう。
 (2003)
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  1. 2002/11/30(土) 12:39:19|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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