太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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「苦にするな嵐のあとに日和あり」

 敬老の日を前に、京丹後市丹後町に住む男性長寿日本一の木村次郎右衛門さん(113)が、こんな座右の銘を披露したそうである(2010/9/13j毎日新聞)。
「止まぬ雨はない」「明けぬ夜はない」とか、「禍福はあざなえる縄のごとし」といった諺と同じような意味だが、人生経験が日本一長い人の口から聞くと実に重みがある。
 客観的に良いことと悪いこと、幸と不幸が交互にやってくると考えるのは無理がある。むしろ幸と不幸、快と不快は相対的なものだと考えた方がよい。極端な例をあげるなら、末期癌で苦しんでいる人は痛みが和らいだだけで幸福感を味わうだろうし、すべてに恵まれた人は体重が1キロ増えたことも悩みの種になる。幸福そのものが退屈で、むしろ小さな不幸を求めるかもしれない。
 私は小学校3年生のころから、そのことを考えて無気力になったことがある(今でもそれから完全には抜け切れていないが)。楽しいときも後でその反動くるかと思えばあまり楽しくなくなるし、努力して幸せになっても必ずその裏返しがやってくると考えたら、何もする気がしなくなった。そして、その考えを否定するための命題を探し続けた(とくに哲学を学んだわけではないが)。幸福の絶頂期に急死したら生涯幸福度はプラスになるし、難産で苦しんみながら生まれた子がそのまま亡くなったらマイナスで終わるとか。あるいは、幸-不幸、快-不快の一次元でとらえるのは単純すぎる(たとえば人は自分の不幸を逆に楽しんでいる部分もないとはいえない)とか、そもそも神は人間を公平に扱うとはかぎらない、とも考えた。
 木村翁の言葉は、多くの人を勇気づける。しかし、私のように勇気づけられると同時にアポリアから抜け出す道を断たれたように受け止める人もいるだろう。
 木村翁にはもっともっと長生きして、人生の「正解」を教えてもらいたいものだ。

(2010/09/14)
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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