太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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思いこみ

 最近、いろいろなトラブルを目に(耳に)した。渦中に巻き込まれることもある。そこに共通しているのは、思いこみが誤解を招いたり、事態を悪化させたりしていることだ。しかも日頃は冷静沈着な人までそうなるのだから困る。

 人間はだれでも自分の頭で物事を認識し、仮説を立てて行動する。しかし情報不足や解釈上の問題によって、その認識や仮説が誤っている場合がある。たとえ認識や仮説が正しかったとしても、何かその認識や仮説に合致したような情報が入ると、それを検証することなく自分の認識や仮説の枠組みに当てはめて解釈する。すると、曖昧だった認識や仮説は確信に変わる。それがこわいのだ。

 たとえば過去の言動などから、「Aさんは卑怯な人だ」という先入観をもっていたとする。あるいは、「Bさんたちは自分を嫌っているのでは」と疑っているたする。そこへたまたまAさんが自己弁護する発言をすると「Aさんは責任逃れのために嘘をついている」となるし、Bさんが仲間と小声で話し合っているのをみると「自分の悪口を言っている」と完全に思いこむ。しかし第三者として客観的にみていると、その大半は全くの誤解か、誤解の部分が含まれている。少なくとも、偏った一面的な解釈をしている。

 とくに恐いのは、自分の思いこみをあたかも事実であるかのような口ぶりで誰かに話し、相手と思いこみを共有したときである。たいていの場合、自分に共感してくれそうな人に話すので、思いこみが共有される可能性は極めて高い。そうなると、もうどんな弁解に対しても聞き耳をもたないし、たとえ聞いてもそれを自分の仮説を補強する材料としてとらえてしまう。

 それはだれでも陥りやすい危険な心のワナである。だれより理性と冷静さが求められる検事でさえ、自分の描いた筋書きどおりに証拠をねつ造し、上司もそれを隠すといった過ちを犯したではないか。

 では、どうすればそれを防止できるか?

 とりあえずは、自分の描いている仮説とまったく異なる仮説を立て、それに当てはめて物事や情報を解釈してみるべきだろう。

(2010/10/3) 
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  1. 2010/10/03(日) 09:04:41|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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