太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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災害に対する目の向けかた

 大地震の発生時、私は東京のビルの8階で仕事をしていた。今まで経験したことがない異様な揺れかたに、「たいへんなことが起きている」と直感した。ほどなく巨大地震の発生が伝えられ、2時間ほどたってから急遽予約したホテルに徒歩で向かった。歩道は会社帰りの人や出張に来ている人たちで混雑していたが、彼らの言動からは災害の深刻さはほとんど伝わってこなかった。テレビの報道を見ているかぎり、これほどの大惨事になっているとは知らなかったのだろう。
 阪神淡路大震災のときも同様で、発生後かなり時間がたっても、あれだけの犠牲者が出ているとは想像もしない人が多かった。
 わが国では災害が発生したとき、犠牲者がどれくらい出るかを予想して発表することはタブーである。「不謹慎だ!」と必ず非難を浴びる。そもそも、このようにブログで第三者的に取りあげることさえ不快に思う人が少なくないだろう。
 一方、欧米のメディアのなかには、今回の地震発生後ただちに犠牲者数を予測し、どれだけの大災害かを報道していたところがあった。またアメリカのあるメディアは、危険を冒して原発作業に当たった作業員たちはノーべル平和賞に値すると賛辞を送っている。
 わが国では大災害のときにいくら活躍し、貢献してもヒーロー扱いはしない。まして本人が少しでもヒーロー気取りを見せたら、世間のひんしゅくを買う。だから個人でも企業でも寄付や支援はコッソリと行う。
 しかし、とくに企業の場合、堂々と社名を出して金銭的に、あるいは人的に支援するのが果たしてよくないことだろうか? 宣伝行為だとか、「こんな非常時にあくどい・・・」などと非難されることなのだろうか? 多く企業が競い合って支援するようになれば、たとえそこに打算が働いていたとしてもプラス面のほうがはるかに大きいと思うが。
 犠牲者数の予測にしても、地震発生から早い時期に発表されていたら、みんなが事の重大さを知り、避難や救援がもっと迅速かつ大規模に行えたかもしれない。
 被災者の立場や感情を慮るのはとても大切なことである(それができない人はとても尊敬に値しない)。しかし、気を遣いすぎて及び腰になり、結果的に被害を拡大したり支援をためらわせたりするようでは本末転倒だ。

(2011/3/18)
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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