太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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五月病?の日本

 毎年、ゴールデンウィークを境に学生の行動が大きく変化する。新入生でごった返していた食堂もキャンパスもゆったりとし、教室には空席が目立つようになる。そして学生たちは気の合った仲良しグループをつくり、集団で行動するようになる。集団に入れない学生は、自ずと孤立し、なかには登校しない者もでてくる。
 ただ、「仲良し」グループといっても、ほんとうに仲がよいとはかぎらず、とりあえず属していたら安心できる集団といった程度の意味しか持たない。こうした集団と孤立者の存在そのものを「五月病」の中に含めることもできそうだ。

 しかし、「五月病」を大学の新入生だけの問題としてとらえてよいものだろうか?
 それは目標を失った社会が陥る現象のように思える。
 中国や韓国といった発展著しい社会を見ていると、業績をあげる企業や活躍する人はたたえられ、社会はそれを支援する。人々の関心は外を向いているので、他人の揚げ足をとったり重箱の隅をつついたりすることは少ない。というより、そんなことをする人が冷たい目で見られる。
 一方、発展や成長という目標が後景に退いているわが国では、人々の関心が内側を向く。受験という目標を失った学生たちと同じである。
 先月のブログにも書いたとおり、いくら業績をあげて社会に貢献していても、ちょっとしたミスを犯せばアウトだ。空気を読まない言動や「不謹慎」な行為、多数派に同調しない人たちは、正義の名を借りた嫉妬やルサンチマンの餌食になる。
 震災という大きな国難を抱えた今、こんなことを続けていれば、経済も社会も右肩下がりの勾配がいっそう急になるに違いない。
 
 どうすればそこから脱却できるか?
 ヨーロッパの国々を見てもわかるように、成熟社会で衰退にブレーキをかけるのは「健全な個人主義」だろう。国民の連帯も、健全な個人主義があってこそ可能になる。それがないところでの「連帯」や「絆」は、単なるもたれ合いやくびきになってしまう。健全な個人主義と「有機的連帯」(デュルケーム)こそが復活への扉を開くと私は信じている。

(2011/5/11)
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  1. 2011/05/11(水) 10:37:35|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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