太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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見苦しい、建設中止の道路

 あらためていうまでもなく、「平等」は「自由」とならんでもっとも大切な権利であり、政策目標の一つだ。とりわけ機会の平等については、その実現に反対する人は少なかろう。
 ところが「機会均等」という理念に照らして、近年私が危惧していることがある。それは、国内の地域格差が広がることを容認する雰囲気が広がりつつあることだ。「ナショナルミニマムが達成された今、国土の均衡ある発展より地域の個性化を図るべきだ」というような論調が目立つ。はたしてそうだろうか。
 そもそも「ミニマム」に絶対的な基準があるわけではなく、グローバル化やボーダレス化で競争が激しくなれば、一見わずかな格差でも決定的なハンディになることがある。したがって、どこに住んでいても、文化的な生活ができることはもちろん、ハンディなく学び、働くことができなければ競争に参加することさえできない。その条件を整えるうえで、情報通信網などとならんで交通網の整備はきわめて重要な政治の責任である。経済性だけを考えればよいのなら民間に任せておけばよく、政府などいらないはずだ。
 家族で日本海側を旅行していると、バイパス建設を中断し何年も放置されている現場が目に入る。何ごとでも途中で投げ出してしまう自分の息子がやったことのようにみえて不愉快だ。そういえば、「比例区で終身一位」という約束を破ったのも同じ人だった。一国の宰相がこれでは、子供に対して「やりかけたことは途中で投げ出すな」「約束を破ってはいけない」と言っても説得力はない。
 それはともかく、本気で世の中を変えるつもりなら、単なる「ポピュリズム政治」に堕することなく、ほんとうの政治の役割は何かという原点を見つめ直してもらいたい。またそれを支持するような国民でありたい。
 (2004.1)
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  1. 2004/01/04(日) 12:42:20|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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