太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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夜郎自大

 今年の夏もまた高校野球で盛り上がった。その立役者の一人が花巻東高校の千葉君だ。ファウルで粘って出塁する彼のプレースタイルはユニークで、試合展開から離れたところでも注目された。ところが準々決勝の試合終了後、いきなり審判から「スイングではないのでスリーバント失敗でアウトにする」と宣告された。彼が動揺したのはいうまでもなく、次の試合では活躍できないまま甲子園を去った。

 私が見る限り、あれをバントとはいえない。あれでスイングしていないというなら、流し打ちはすべてアウトになる。しかも、それまで認めておきながら、準決勝を前に突然ダメだというのはフェアでない。
 おそらく審判は、彼が想定外のプレーでトリックスター的な活躍をするのを「大人」として放置できなかったのだろう。背後にあるのは、「高校生らしさ」を自分たちが守る、という行き過ぎた自負心である。

 ふと、一昔ほど前に登場した「正義の味方」を思い出した。「額に汗して働く人々・・・が憤慨するような事案を万難を排しても摘発したい」と唱え、ライブドアの堀江氏をはじめ「一攫千金」をもくろむ若手起業家たちを次々に逮捕した当時の東京地検特捜部長である。

 両者とも掲げている理想はまともに見えるが、そこにはとても危ういものがある。百歩譲って高校野球には「高校生らしさ」が求められるとしても、それを具体的に定義するのは高野連などの組織、あるいは世論である。少なくとも審判にその権限が委ねられているわけではなかろう。特捜部長の発言も同様で、どのような社会が望ましいかは彼が決めることではない。越権行為、夜郎自大も甚だしい。

 審判にしても特捜部長にしても大きな権限、権力を握っている。しかし、その権力行使に自分の理想像や社会観で裁量を加えることはけっして許されないはずだ。権限を委ねられているものは、どこまでも謙抑的であらねばならない。
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  1. 2013/08/23(金) 19:36:19|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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