太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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従順の罪

 先日、インターネットの相談コーナーに、つぎのような悩みが載っていた。

 相談者は一人のサラリーマン。突然、会社に父が危篤だとの電話が掛かってきた。すぐ帰りたいと上司に伝えると、「君がいないと会議に支障がでる」と上司に反対されたという。
 
 それに対する回答やコメントは、ほとんどが理解のない上司を責める内容のものだった。しかし私は、むしろ相談者のほうに問題があるのではないかと感じた。
 普通に考えたら、親の死に目に会えるかどうかは本人にとって一大事だ。帰ろうと思えば、上司が力尽くででも阻止しないかぎり、一目散に帰ればいい。それが後で問題になれば、そのときに解決すればよい話だ。たとえ処分されたって、後で後悔することはなかろう。
 一方、上司は冷血で非人間的なな人のように見られているが、彼としては自分の立場から反対したまでのことである。にもかかわらず、それを絶対的命令であるかのように受け止められ、あの上司のおかけで親の死に目に会えなかったと一生恨まれでもしたらたまらない。

 この相談者がそうだとは言わないが、上司の意向を絶対視する人は、たとえ社会的に許されないことでも、平気で行ってしまう危険性がある。「アイヒマン実験」でも明らかになったように、人間は権威のもとでは善悪を判断する力を失ってしまうものだからである。大企業や役所で繰り返される事件、不祥事、それに学校や職場のいじめも、そうした関係性のなかで発生したケースが多い。

 無批判な従順さは必ずしも美徳でないばかりか、とても危険で無責任なことだと自覚すべきである。この相談事例で問題なのは理解のない上司よりも相談者自身、あるいは彼の判断力と行動力を麻痺させた職場や社会の風土であるといえよう。

(2014/7/29)
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  1. 2014/07/29(火) 14:28:43|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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