太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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小さな節約と大きな無駄

 先日の新聞によると、巨額の財政赤字を抱える北海道庁では、残業時間には暖房を停止したり、トイレに水を流す間隔を短くしたり、徹底的な経費削減を行うそうである。昼間でさえ氷点下の日が多い北海道で職場の暖房を消すというのには正直驚いた。民間企業でもここまでの節約はあまり聞かない。道庁に限らず、最近では「小さな」節約に取り組む官公庁が増えている。職場を見回しても、真夏に暖房を停止したり、蛍光灯を半分消したり、使い古しの封筒を再利用したり・・・
 意外に感じられるのは、コストに敏感なはずの民間企業でもなかなかそこまではやってないということだ。生き馬の目を抜くような競争にさらされているベンチャー企業でさえ、これほど細かい節約はしていない。
 それは企業の場合、コストとともにパフォーマンスを考えるからだ。暖房費を節約しても、仕事の能率や仕事の質が落ちては本末転倒である。また職場環境が悪いと優秀な人材が逃げてしまうかもわからない。両者を比較して節約のメリットより、デメリットの方が大きいと判断するからこそ、そこまでの節約はしないのである。
 役所の場合も当然、環境が悪化すれば仕事の能率は落ち、優秀な人材がほかへ逃げる可能性はある。したがって、表面的な節約と裏腹に背後では大きなロスが生じていて、住民の利益向上にはむしろ逆行しているかもしれない。
 しかし、企業と違って役所の仕事は成果が曖昧であり、測定も難しい。とくに一般住民がそれを評価することはきわめて困難である。そのため、一般受けをねらうマスコミやオンブズマンも、それに最終的に選挙の得票を気にする行政当局も、目に見えるコストだけを追う。結果として、個々の公務員がどれだけの仕事をし、組織としてどれだけの成果をあげたかは省みらずに終わってしまう。
 氷点下で暖房を切り、真夏に冷房を入れず、薄暗い職場でこなせるような仕事しかしていないのか、と問いただす人が見あたらないのは寂しい。
 (2004.3.2)
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  1. 2004/03/02(火) 12:46:21|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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