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太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

バレンタインデーと手編みのマフラー

 昔聞いた話では、バレンタインデーが近づくと男性が女性に対して優しくなる傾向があるそうだ。そして義理チョコをもらった人は、もらっていない人に比べて女性に優しくなるという。「たかが義理チョコ」と笑いながら、多少なりとも意識していることのあらわれだろう。
 「義理」チョコは文字どおり「義理」であり、深い愛などは込められていないが、日ごろの付き合いに対する感謝の印であり、もしかしたらそこに300円~1000円程度の愛は込められているかもしれない。だとすると、男性が義理チョコをもらえるように女性に優しくしたり、もらったら優しくなったりするのは、女性からの感謝やささやかな愛を心のどこかで求めている(求めていた)証であり、承認欲求に呪縛されているといえなくもない。
 もっとも義理チョコなら、ホワイトデーにチョコより少し高めのお返しをすれば呪縛が解ける。しかし、思わぬ人から心のこもったプレゼントをもらったら、それではすまない。昔なら、手編みのマフラーやセーター、手作りのケーキといったところだろう。プレゼントに込められた「愛」の大きさは計量困難なので、呪縛を解くのも容易ではない。
 日本の組織や社会には、これと同じような性質の呪縛がいたるところに存在し、しかも四方八方に広がっている。意外に思われるかもしれないが、スポーツ界の暴力やパワハラ、過労死・過労自殺、企業や役所の組織不祥事、等々多くの社会問題が実はこの種の呪縛によって引き起こされている。少なくとも関わっていることは間違いがない。しかも一定の条件がそろえば、だれでも呪縛に陥る。
 その条件、すなわち当人が感じる呪縛やプレッシャーの強さは、つぎの簡単な数式によってあらわせる。
 (A-B)×C
 したがって呪縛を防ぐ、あるいは呪縛を解くには①Aを小さくする、②Bを大きくする、③Cを小さくする、という3つの方法がある。それぞれについて、個人、組織、社会それぞれができることを実例とともに示した。

(2019/1/27)
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  1. 2019/01/27(日) 22:35:21|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
『「承認欲求」の呪縛』(新潮新書) 
『「ネコ型」人間の時代』(平凡社新書)
『ムダな仕事が多い職場』(ちくま新書)
『なぜ、日本企業は勝てなくなったのか』(新潮選書)
『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)
『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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