太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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高齢者の無料パスから分権を考える

 昼間に市バスを利用すると車内はお年寄りで溢れている。無料パスを利用して買い物に行く人、孫に会いに行く人、美術館に行く人・・・。元気で何よりだ。
 しかし・・・と天の邪鬼の私は考えてしまう。大都市でもこれだけ無料パスの需要があるのだから、他に交通手段のない過疎地ではもっと需要が大きいに違いない。にもかかわらず、お年寄りが高い交通費を払ってバスに乗らなければならないのはおかしいではないか。これも地方分権の結果なのか。
 隣接する自治体で、無料パスがないほうの地域では、お年寄りが自転車で遠出するため交通事故でなくなるケースが無料パスのある地域に比べて多いという話もあった。無料パスだけではない。健康診断、保健、医療などの地域格差も「地方分権」の名のもとに正当化されてしまう。命の大切さが地域によって違うというのか。そんな地方分権なんかないほうがよい。
 「中央集権」対「地方分権」という対立図式を示されると、多くの人は後者の方がよいと思いこんでしまう。しかし分権は、ある意味で強者の論理だということを忘れてはいけない。地方分権が進むと、知事や市町村長にとっては自分の権限や影響力が大きくなる。また財政力の豊かな地域の住民が分権に賛成するのは当然だ。しかし、すべての住民が分権の恩恵を受けるとはかぎらない。まして財政力の乏しい地域の住民にとっては、集権的に国土の均等な発展を図る方がメリットは大きいはずである。
 小学校のころを思い出してほしい。担任が出張などで自習になったとき喜んでいたのは「いじめっ子」たちで、「いじめられっ子」は戦々恐々としていたではないか。
 地域でも、あるいは会社の中でも、分権が個人にどんな影響を及ぼすかを冷静に見極める必要がある。個人的な野心から「分権」を謳う人たちに利用されてはならないのだ。
(2005.12.11)
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  1. 2005/12/11(日) 13:56:27|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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