太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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熱意と分別

 教室で女子生徒のお腹をつついた教師がセクハラで懲戒処分になったという記事が載っていた。生徒の背中にあだ名を書いた紙を貼った教師や生徒に暴言を吐いた教師も記事になっていた。はっきりしたわいせつや暴力は論外だが、こうした比較的軽微な問題まで大げさに取りあげられたり厳しく処分されたりすると、教師が萎縮してしまわないかと心配だ。
 教師に対してこのように同情的になるのは、もしかすると世間が教師に対して二律背反するものを求めているのではないかと思われるからだ。
 小中学校教師の採用試験では、近年とくに「熱意」が強く問われるようになった。ところが教育に対して熱意がある教師は、入れ込みすぎたり生徒に近づきすぎたりしてしまうことがある。冒頭に書いた「こづき」や暴言も熱血と紙一重ではなかろうか。少なくとも、要領のよいサラリーマン型の教師はこのような「事件」を起こすことはないだろう。
 このようにいうと、「熱意」と「脱線」とは違うという、当たり前の反論がかえってくるにちがいない。たしかにそのとおりだが、それを完璧にわきまえた人間がどれだけいるだろうか。
 教師を取り巻く環境はだんだん厳しくなるにもかかわらず、待遇は悪くなる一方である。夏休みは召し上げられたうえ、給与も引き下げられる。せめて尊敬されたり感謝されたりすれば救われようが、生徒や保護者のそうした気持ちも薄れている。
 実際、景気回復で民間企業の待遇がよくなるにつれて教員志望者は大幅に減少しているといわれる。自治体によっては競争率が二倍程度のところもあるそうだ。不況で買い手市場のときならいざ知らず、今のように明らかな教員離れが進んでいる中で、熱意と分別を完璧に備えた理想的教員をどれだけ確保できるだろうか。

(2006.8.5)
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  1. 2006/08/05(土) 21:25:39|
  2. 2006年
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

unknown

世間!が教師に二律背反を求めていることは間違いありません。
「熱意」とは、縁故採用の温床になっている「胡散臭い」人物評価の中心的な要素でもありますが・・・。
 優秀な人材の確保において高待遇は不可欠です。が、待遇をよくすれば「熱意と分別」ある教師を確保できるのであれば、「人事」も「組織論」も要りません。
 「人減らし」に即効あるのは「人減らし担当」部署(者)の廃止。日本経済学者がどれだけいるか存じませんが、一体、誰のお陰で飯を食っている人達なのか。各々自らの原価計算を試みられたい。 
 

  1. URL |
  2. 2006/08/08(火) 12:09:21 |
  3. unknown #KRLzGGpg
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  1. |
  2. 2006/08/22(火) 00:15:33 |
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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