太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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大事なルールとそうでないルール

 飲酒運転に対する社会の目が大変厳しくなってきた。郊外の居酒屋で当たり前のように酒を飲んで帰るドライバーを見て腹だたしく思っていた私には、むしろ遅すぎたように感じられる。しかし、飲酒による事故は、今でも連日のように報じられている。習慣とは恐ろしいものだ。
 飲酒運転にかぎらず、重大な違法行為がなくならない原因の一つは、「どうでもよい」というと言い過ぎかもしれないが、あまり重要でない規則が多すぎるからではないかと思う。たとえば遮断機のある踏切でのいったん停止。聞くところによると、停止によるエンストが事故につながる危険性の方が高いらしく、一旦停止が義務づけられているのは日本だけだそうである。
 話は違うが、電車やバスの中で携帯の電源を切らせるのだって同じようなものだ。これも聞くところでは、電波がペースメーカーなどに悪影響を及ぼして事故になった例は世界でまだ報告されていないそうだ。たとえその恐れがまったくゼロではないにしても、携帯のメールを使うことの利便性と天秤にかけた場合、電源まで切らせるのは行きすぎではなかろうか。
 以前のブログにも書いたと思うが、狭い範囲で「完璧」を求めることは必ずしも全体最適にはならない。そして、完全主義の押しつけは、事の軽重を判断する能力を麻痺させてしまう。遮断機のある踏切で一旦停止することを怠るのも、飲酒運転するのも「違反は違反だ」という論理がまかり通るわけである。
 遵法意識を高め、大事なルールは絶対守らせるためにも、どうでもよい(あえて言う)ルールは今すぐ撤廃すべきである。

(2006/10/8)
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  1. 2006/10/08(日) 22:21:23|
  2. 2006年
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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