太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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プロ野球選手の不祥事

 新年早々に残念な出来事だが、プロ野球オリックスの投手が昨日、無免許運転とひき逃げで逮捕された。度重なる違反で免許を取りあげられたにもかかわらず車で仕事に通い続けていたらしく、言語道断だ。
 球団社長はマスコミの取材を受けて陳謝しながらも、「小学生の子どもように、はしの上げ下げまで教えるのか・・・」と答えたという。取りあげた新聞はもちろん、それに批判的だ。しかし私はあえて社長の発言を支持したい。
 今回のような不祥事が許されないのは当然だが、それと会社の管理責任や処罰と短絡的に結びつけるのはどうかと思う。会社の責任を厳しく追及すれば、自然と管理は厳しくなる。わが国のように人権感覚の乏しい風土では、下手をすると大相撲にならって現役中は車の運転を禁止ということになるかもしれない。
 飲酒運転についても、厳しくなった世論を背景に、即免職にする会社や自治体が増えたが、仕事と直接関係のない不祥事でそこまで厳しく処分するのには納得がいかない。「会社・役所の信用を傷つけた」というのが表向きの処分理由だろうが、個人の不祥事を組織の評価と結びつける人も人だし、厳罰を科すことでイメージを回復しようとする組織の姿勢にも何かすっきりしないものを感じる。
 こんなことを言うと私が不祥事に甘いと誤解されるかもしれないが、けっしてそうではない。飲酒運転やひき逃げといった悪質で、しかも人命にかかわるような罪に対しては厳罰をもって臨むべきだと思っている。しかし、それは基本的に一社会人として個人が負うべき責任なのである。
 ここで考えてほしいのは、サラリーマンではなく自営業者だったら(プロ野球選手も法的には個人事業主だが)だれが管理し、どんな処分をするのかということだ。さらに、それ以前の問題として、組織による管理監督や処分を受けない自営業者は事件や不祥事を起こす確率が明らかに高いのか?
 かりにサラリーマンと自営業者の間で事件や不祥事を起こす率に差がないのなら、組織による管理や制裁は効果がないということを意味する。逆に自営業者のほうが高いのなら、サラリーマンだけ厳しく管理し制裁を強めると均衡を失するだけで(自営業者が存在する以上)根本的な解決にはならないことになる。
 組織への依存と組織による厳しい管理の悪循環を断ち切らない限り、ほんとうの自己責任意識は育たないだろう。蛇足だが、小学生のように管理された選手の試合など私は観たいと思わない。

(2007/1/8)
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  1. 2007/01/08(月) 10:51:49|
  2. 2006年
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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