太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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ほんとうは「認められたい」のだ

 先週、宮崎市にあるコープみやざきの花ヶ島店を訪ねた。私が常々唱えている、「自分を表に出して仕事をする」ことを実践している職場があるという話を聞いて訪問したのだ。
 売り場の各コーナーには、担当者が仕事で心がけていること、お客さん(組合員)への細かいアドバイスや生活情報、それに自分の趣味や家族のことなどを書いた木製の札が掛けられている。まさに「売る人の顔が見える店」だ。職員に話を聞くと、「最初はエー? と思ったが、お客さんとの距離が縮まり、だんだんと仕事に行くのが楽しみになってきた」という答えが返ってきた。たしかに店の中を見回ってみると、職員もお客さんも生き生きとしていて、店全体が明るい。組合員の意識調査を見ても満足度はすこぶる高い。
 学生のレポートや社会人のアンケートを読むと、日本人の自己表現や自己主張がいかに屈折したものかが伝わってくる。彼らはチームの代表に選ばれたとき、あるいは自分が名前や顔写真入りで紹介されるようになったとき、「私、恥ずかしいからイヤです」と辞退しようとする。でも、それは彼らのホンネではないのだ。辞退がすんなりと受け入れられた人は「実は、あのとき背中をもう一押ししてほしかった」、逆に多少強引にでも表舞台に引き出された人は「涙が出るほどうれしかった」と答えているのである。
 「キライキライもスキのうち」とよく言われたものだが、奥ゆかしさを美徳とする<裏承認社会>のわが国では、トップや管理者の主導で自己表現、自己主張を支援することが必要な場合が少なくない。隠れた承認欲求を満たしてあげることが、日本のリーダーやマネジャーに求められる重要な役割なのではなかろうか。相手のホンネが読めない無粋な男と鈍感な上司ほどいらつくものはない。

(2007/4/2)
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  1. 2007/04/02(月) 18:56:39|
  2. 2006年
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  4. | コメント:3
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コメント

仕事の変化とうつ病

私が雑誌の編集の仕事を楽しみながらやっていた頃には、とにかく読者が読んで面白い特集記事を作るのが自分の目標でした。そして会社の社長も、この雑誌の特集は面白いと認めてくれていました。いい循環はどんどんいい循環を生んで、次から次へと新しい企画がでてきました。ところが、会社が合併して組織が変わってから、雑誌づくりが外注となり、私の仕事は出来上がってきた原稿をチェックし、稟議書を作成して上に回すだけになりました。そして不幸にも、外部のライターが書いた原稿は少しも面白くない。それは上司にも分かることで、「この原稿は面白くない」という批判が私に向かって発せられるようになりました。私がうつ病を発症したのは、そんな頃でした。
  1. URL |
  2. 2007/04/03(火) 20:13:05 |
  3. 赤塚 洋 #c/HYxa/Q
  4. [ 編集]

やはり、認められないと「うつ」症状に陥るケースが多いようですね。モノづくりの現場でも、第一線から管理職に昇進したとたんに実力を発揮できなくなり「うつ」状態になる人が少なくないといわれます。精神的健康を保つうえでも、能力発揮→成果→承認→モチベーション→能力発揮、というサイクルが必要なのでしょう。
  1. URL |
  2. 2007/04/04(水) 22:25:22 |
  3. 太田 #-
  4. [ 編集]

リスペクト

楽しいから仕事をするというのは羨ましくもある.楽しくなくても,仕事をしていて,「認められたい」というのは,確かにある.

ネット上での質問に対してプロ顔負けの知識が披瀝される.たとえばソフトの使い方や趣味の領域などで,コミュニティに参加しているメンバー同士で教授されているのを見る.これは無償の行為であり,まさに「リスペクト」だ.と,WEB2.0関連の書籍に書かれていた.Mixiをはじめとするブログで,こういった無償の行為が行われている.ただ「リスペクト」行為は,正しさを誰も保証していない.ただ誤りがあれば,罰則は無く,今後無視されるだけだと言うのも新しいWEB2.0社会の特徴だ.

会社では,自分は「認められたい」「リスペクト」と思っているとしても,いざ,そうなると今度は,会社から,できるならもっともっと仕事をしてくれ,と仕事が増える,集中するという悩みがある.「リスペクト」人は,こういう状況を好まない.この点は「認められたい」人と違う点だ.
「リスペクト」人は,自分の自由度の範囲で,他人に知っていることを無償で教える.このような自由度の担保は,今後,キーワードではないだろうか?

「うつ」「職業選択」など,いずれも日本社会に流動性が無いことが原因だと思う.今は,3年以内にやめるなど,「やめる自由」があるいっぽうで「再就職する自由」には,まだまだ受け入れ側のハードルが高いのではないか?そして鬱がふえ,世界に名だたる自殺大国の一原因になっているのではないだろうか?

勿論,現代の日本はこれまで恵まれすぎた社会で,失敗に弱い国民性,失敗に過度に落胆する国民性,なのかもしれない.これは外国で生活したことが無いので本当か仮説に過ぎないか,わからない.あまりにセーフティネットが高すぎて所得税を払わないおかしな社会主義の是正は必要だろう.
  1. URL |
  2. 2007/04/11(水) 15:09:32 |
  3. 安田昌司 #-
  4. [ 編集]

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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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