太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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特待生問題の責任の取り方

 高校野球の特待生制度が問題になっている。議論百出のなかであえて口を挟む必要はないかもしれないが、少しだけ感想を述べておこう。
 特待生制度や野球留学制度については功罪両面があり、どちらの立場をとるべきか迷うところだが、最大の疑問は、他のスポーツや学業による特待生は認められているのになぜ野球だけはダメなのかという点である。いくら歴史や経緯が違うと説明しても、他と整合のとれていない制度はやがて破綻する。もう一つの疑問は、これだけの「違反」がありながら、なぜこれまで放置してきたのかという点である。
 前者については頑なに規則を押し通すことで当分の間は乗りきれるかもしれないが、後者はそうはいかない。知らなかったというのは限りなく「嘘」に近いし、かりに素人でも知っている公然の事実を最高責任者が知らなかったというなら噴飯ものだ。いずれにしても、企業や役所ならトップが責任をとって退陣するのが普通だろう。違反校の部長を辞めさせ、選手は出場停止にしておきながら高野連の幹部が辞めないというのでは、世間の理解を得られないのではなかろうか。企業や役所と違って責任は個々の違反校にあると言いたいのかもしれないが、あれほど絶対的な権限を行使している以上、今さら監督責任を回避することはできない。
 そもそも、一方では「規則は規則だ!」という官僚主義の原則を貫こうとしながら、他方では権限と責任の一致という官僚主義の原則を無視するのは身勝手すぎないか。
 「特待生制度は生徒に誤った特権意識を植えつける」と言うが、誤った特権意識をもっているのはだれだろうかと考えてしまう。

(2007/5/3)
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  1. 2007/05/03(木) 09:40:52|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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