太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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「評価」の罪

 またスポーツの話から入るが、私はいつも「審判をなくせないものか」と思う。野球なら、アウトかセーフか、ストライクかボールかのミスジャッジ一つでゲームは台無しになる。今の電子技術を使えば、少なくともストライクとボールの判定くらいは機械で簡単にできるだろう。このように言うと、「人間が判定するところが面白い」と反論する人がいるかもしれない。
 しかし、ファンは選手のプレーを楽しんでいるのであって、審判はあくまで黒子でよいのだ。選手の技能も、判定能力以上には上達しない。かりにセンサーでストライク、ボールの判定が正確にできるようになったら、文字どおり針の穴を通すようなコントロールを持つ投手、ミリ単位の選球眼を身につけた打者も現れるだろう。
 ところで先日、流通関係の役員から興味深い話を聞いた。各営業所でトップの業績をあげている人をリストアップしたところ、人事考課で高い評価を得ている人は一人もいなかったそうである。人を評価することがいかに難しいかを物語る話だ。それでも営業のように成果が明確になるところなら、このように実績で鼻を明かすこともできるが、そうでなければ努力も貢献も報われない。
 けれども、なかには他人を評価することを楽しんでいる者がいるから始末が悪い。おそらく、優越感や支配欲を満足させるのだろう。だからこそ無用な評価はなくならない。そして、評価される側の能力向上も、評価者の能力と見識の水準で止まってしまう。
 評価をなくすこと。それが正しい評価の最終的な目標である。

(2007/8/28)
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  1. 2007/08/28(火) 17:31:28|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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