太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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偶然の怖さ

 どうしようもないほど方向音痴の私は、同じ場所で何度も道に迷う。あるとき、大阪の街中で迷って通行人に道を尋ねた。一か月後に同じ場所へ行く用事があり、またも同じところで道に迷い、通行人をつかまえて道を尋ねた。相手の顔を見ると、一か月前と同じ人だった。
 講演で神奈川県の綾瀬市に行き、駅前からタクシーに乗った。一週間後にまた同じ所に行くため、駅前からタクシーに乗った。行き先を告げると運転手は、「そんな施設は知らない」と答える。そこで私が、「先週連れて行ってくれたではないか」と言うと、運転手はキョトンとしていた。
 大阪の街中はたいへん人通りが多いし、綾瀬市の駅前にもたくさんのタクシーが並んでいる。同じ人に出会うのは、きわめて低い確率の偶然である。でも、これらは別にどうってことのない話だ。ところが、偶然が大きなトラブルを招くことがある。先日の新聞に、同じ団地の同姓同名の人に間違って預金が払い戻された可能性があるとの記事が載っていた。私も、それはあり得ない話ではないと思う。だいぶん昔のことだが、銀行の窓口で待っていて、名前を呼ばれたので返事をすると、目の前に札束の山が差し出されたことがある。私には縁のない大金だから即座に人違いだとわかったが、そのまま受け取って帰る者がいたらどうなっていたのだろうか。
 もっと厄介なのは、人間関係のトラブルである。ふだん冷静沈着で理性にあふれた人格者が、単純な誤解がもとで激高したり取り乱したりするのをしばしば見かける。たいていの場合、その誤解の背後には偶然が働いている。たとえば、誰かが自分を快く思っていないのではないか、蔭で陰謀をめぐらしているのではないか、などと疑っているとき、そうした疑いと一致するような現象が起きると疑念は確信に変わるのである。
 偶然のいたずらは恐ろしい。今日の新聞には、冤罪があいついだので警察庁が対策に乗り出すとの記事が載っていたが、冤罪の背後にも偶然が働いている場合が多いのではなかろうか。偶然はたびたび発生するもの、という前提に立ってほしい。

(2008/1/24)
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  1. 2008/01/24(木) 14:39:24|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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