太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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「赤字財政だから給与カット」は短絡

 財政事情が厳しい自治体で、公務員の給与をカットすべきだという声が聞かれる。「民間企業だったら、赤字経営なら賃金カットは当たり前。だから公務員の賃金もカットするのが当然」という主張は単純でわかりやすく、一般受けする。
 しかし、よく考えてみると、この論理はおかしい。赤字経営の企業に対応するのは自治体であり、社員に対応するのは住民のはずである。公務員は、住民の委託を受けて仕事を行っているにすぎないのである。したがって、赤字は住民全体が負担しなければならない。
 赤字の責任を公務員に負わせるとどうなるか? 仕事をすれば支出が増え、そのぶん自分の給与が減らされるのなら、彼らは支出を伴う仕事をしなくなるだろう。仕事をしなければ赤字も増えないからである。でも、それが住民のためになるはずはない。
 そもそも、赤字の責任を公務員に取らせようというのは、実は地方自治の否定につながる危険な考え方だ。公務員が自治の主役で、住民は「お客さん」だという前提に立っているからである。かりに赤字の責任を公務員に押しつけるのなら、自治の権限をすべて公務員に委ねることになってしまう。それが「公務員は公僕である」という原則と真っ向から対立することはいうまでもない。
 このような問題が生じるのを避けるため、公務員の給与は財政状況から切り離して決められる仕組みになっているのだということを忘れてはいけない。公務員の責任を追及するなら、賃金に見合うだけの仕事をしているかどうかを問うべきだろう。

(2008/2/16)
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  1. 2008/02/16(土) 21:01:28|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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