太田肇 Critical Essays ”個の視点”

同志社大学政策学部教授 (個人尊重の組織論、モチベーション論)  日常生活のなかで疑問に感じたとき即座に書いたものがほとんどです。不完全な内容や思い違いがあるかもしれませんが、お許しください。

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危険な「錦の御旗」

 船場吉兆の社長は、「使い回し」を行った理由について「捨てるのはもったいない」と思ったと述べた。資源の有効活用や環境保護が叫ばれ、家庭や学校でも物を大切にする教育が必要だといわれる今日、「もったいないから」と弁解すれば多少は非難がかわせるという思いが頭をよぎったのではないか。
 おかしな言い訳だ。ほんとうにもったいないと思うのなら、自分たちで食べればよい。残った料理は本来、残した客のものだ。それを黙って他の客に売りつけるなんてとんでもない話だ。牛肉の偽装よりもはるかに悪質である。
 それにしても、小賢しい人は世論を逆手に取るのがうまい。
 (過去のブログにも書いたが)六、七年前だったろうか。京都と札幌で同じ経験をした。JRの京都駅と札幌駅の売店で駅弁を買い、いざ電車の中で食べようとしたら箸が付いていないのである。二度とも車内販売の人に箸をもらって事なきを得たが、危うく食事をとりそこなうところだった。当時、一部のコンビニでは資源保護のため、客が求めなければ割り箸をつけないことを宣言していた。駅の売店も、それに便乗したのである。しかし、駅の構内で弁当を買って箸がいらない客がいるはずがない。そんなことは子どもでもわかる。要するに、子どもでもわかることに気がつかないほど経営感覚が麻痺しているのか、環境保護を名目にコストを削減して儲けようという魂胆なのか、いずれかである。おそらく後者だろう。
 このケース以外にも、自然環境保護、温暖化防止、食の安全、等々、反論できない錦の御旗を掲げて私益を追求する狡猾な輩が少なくない。前回も述べたように、ナイーブな「世論」が独り歩きすることはそれだけ有害なのだ。

(2008/5/9)
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  1. 2008/05/09(金) 11:25:11|
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プロフィール

太田 肇

Author:太田 肇
<ホームページ>
http://www.eonet.ne.jp/~ohtahajime/

<職業>
「組織学者」としておきます。

<主な研究分野>
組織論
とりわけ、「個人を生かす組織・社会」について

<肩書き>
同志社大学 政策学部・大学院総合政策科学研究科教授
経済学博士

<著書>
◆最新刊 『最強のモチベーション術 人は何を考え、どう動くのか?』(日本実業出版社)

『個人を幸福にしない日本の組織』(新潮新書)
『社員の潜在能力を引き出す経営』(中央経済社)
『がんばると迷惑な人』(新潮新書)
『子どもが伸びる ほめる子育て』(ちくま新書)
『組織を強くする人材活用戦略』(日経文庫)
『表彰制度』(日本表彰研究所との共著 東洋経済新報社)
『社員が「よく辞める」会社は成長する!』(PHPビジネス新書)
『公務員革命』(ちくま新書)
『承認とモチベーション -実証されたその効果-』(同文舘)
『「不良」社員が会社を伸ばす』(東洋経済新報社)
『「見せかけの勤勉」の正体』(PHP研究所)
『認め上手  -人を動かす53の知恵-』(東洋経済新報社)
『認められる力』(朝日新書)
『日本的人事管理論』(中央経済社)
『承認欲求』(東洋経済新報社)
『お金より名誉 のモチベーション論』(東洋経済新報社)
『「外向きサラリーマン」のすすめ』(朝日新聞社)
『認められたい!』(日本経済新聞社)
『「個力」を活かせる組織』日本経済新聞社)
『選別主義を超えて』(中公新書)
『ベンチャー企業の「仕事」』(中公新書)
『個人尊重の組織論』(中公新書)
『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)
『囲い込み症候群』(ちくま新書)
『仕事人(しごとじん)の時代』(新潮社)
『仕事人と組織』(有斐閣)
『日本企業と個人』(白桃書房)
『プロフェッショナルと組織』(同文舘)

<生活信条>
できるだけ人に迷惑をかけないこと。恩を忘れないこと。

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